子宮外妊娠とは?

子宮外妊娠(しきゅうがいにんしん)とは、その文字のとおり子宮腔以外の部分への受精卵の着床をさす。放置すると危険な状態になるので産婦人科での緊急な処置が必要となる。子宮外妊娠は全妊娠の1%に認められ、反復するのは20%とも30%とも言われている。理由については後ほど述べる。妊娠可能年齢の女性の旧姓腹痛では常に子宮外妊娠の可能性を視野に入れる必要がある。問診では妊娠の可能性はないという患者でも、検査をしたところ子宮外妊娠であったという話も多く、問診・検査の同意の取り方の重要性を考えさせられる疾患である。着床部位による分類では卵管妊娠が最も多く子宮外妊娠の99%を占める。その中でも卵管の入り口部分の「卵管膨大部妊娠」と呼ばれる子宮外妊娠が多い。その他には卵巣妊娠・腹腔妊娠・頸管妊娠などがある。頸管妊娠は脱落膜のなく、太い血管が多い頸管部に着床する子宮外妊娠であり最も重篤な外出血を起こしやすい。卵管は子宮とは異なり、非常に狭い空間であるため、胎児が育ちにくく、放置すると卵管内で流産したり、卵管が破裂して大量出血して母体が危険にさらされる恐れがある。診断方法は尿テストなどで妊娠を確認し、次に超音波断層法、腹腔鏡で子宮腔以外に受精卵が着床していることを診断する。いずれにしても即日確実な結果を出すには不安定な検査であり。子宮外妊娠を初期の段階で発見することは難しい。

子宮外妊娠の理由と症状

子宮外妊娠の主な原因は卵管炎が多い。卵管が詰まっていたり細くなっていたりして、受精卵が卵管を通過できず、子宮にたどり着く前にどこかで着床してしまうものと考えられる。前述した子宮外妊娠の反復する確率の高さは、卵管は左右一対なのでどちらかに問題があればもう一方にも問題があることが多いためと考えられる。受精卵が正しく子宮に着床されない(子宮外妊娠)と、早期の流産を招く。そして子宮外妊娠の症状として代表的なものは、無月経、不正出血、下腹部痛の3つが主なものである。たとえ子宮外妊娠であったとしても、妊娠初期では無月経などの妊娠初期の症状を示すに過ぎず、そのうち少量の出血が続き、下腹部から肛門にかけて痛みも伴う。子宮外妊娠をおこしたまま受精卵が成長を続けると、卵管が破裂し、腹腔内に出血を起こして貧血、めまい、脈拍低下、血圧低下、嘔吐、ショック症状などを起こす。また子宮外妊娠の着床部位によって症状や重症度が異なったり、発現時期の違いがある。子宮外妊娠の症状はほとんど無症状のものから死に至るものまで極めて多様な症状が現れる。たとえば子宮外妊娠の中で卵管流産といわれるものの多くは、卵管膨大部に起きる。胎嚢が破れ、胎芽が卵管腹腔口から腹腔内に排出される。このため腹痛を伴う。また子宮外妊娠による卵管破裂の多くは卵管峡部妊娠に起こる。胎嚢と共に卵管壁が破れて破裂し、胎芽が直接腹腔内に排出される。そのため大量の腹腔内大出血が起こり、激しい下腹部痛やショック状態などを呈し、緊急手術を施さなければ死に至る危険もある。

子宮外妊娠の診断と治療方法

まず、超音波にて正常な位置(子宮内)に受精卵が着床しているかを診断する。妊娠5週目くらいまでは胎嚢を確認することも難しいため、子宮外妊娠か正常妊娠かを判断することは困難である。超音波で診断が付く前に腹痛や不正出血などの子宮外妊娠を思わせるような症状が先に出ることもあるが、ほとんどの場合、症状が出ないことが多く、症状が軽いほど診断に時間を要する。超音波で子宮外妊娠の診断が付かない場合、腹腔鏡で確認することもある。子宮外妊娠と診断された場合、妊娠を継続することは不可能である。子宮外妊娠の治療には大きく分けて観血療法(手術療法)、非観血療法(薬物療法)ある。それぞれ利点と欠点があるのでその状況下で最も良い方法を選択する。子宮外妊娠ではほとんどの場合観血療法になるとされている。腹腔鏡または開腹手術により、妊娠部位を見つける。その際、卵管ごと切除する方法と卵管を保存する方法がある。卵管を切除すれば、そちら側の卵管では妊娠できなくなるが、残した卵管でも再び子宮外妊娠が起こることがある。これは先に述べたように、卵管自体に問題がある場合だ。また、薬物療法はあまり行われていないのが子宮外妊娠治療の実情だ。理由に、保険外診療となること、薬剤が抗がん剤であること、また治療期間が長期となる可能性や、治療効果の確実性がないことから子宮外妊娠の治療としては手術を行うことがほとんどである。また、子宮外妊娠の場合、精神的なケアも必要であろう。

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